書きたいように書こうぜ

絶賛、ネタバレ中。本とか映画とか。

「罪の声」が全く聞こえてこない

 

罪の声 (講談社文庫)

罪の声 (講談社文庫)

 

 ☆

響かない。何も。どうしちまったのか。おれの感性が擦り切れてしまったのか。はたまた読解力が小学生並みになったのか。とにかく何にも響いてこない。

題材はあのグリ森事件だ。細部まで知っている。嫌と言うほど。だからなのか、ノンフィクション部分は面白い。面白いなんて陳腐な言葉を使っのは、筆致はまったく良くないからだ。起こる事件の概要はあえて言えば痛快だから、なんとか読み終えた。

フィクション部分はダメだ。追いかけるやつが薄っぺらなのは構わない。世の中にいくらでもいる、そうオレみたいな、薄っぺらでもいい。だが犯人が薄っぺらなのは納得がいかない。薄っぺらな奴らに、薄っぺらと言われるほどの平板な奴らが犯人だって? あの事件を彼らが演出したというつもりか。たんにツキに恵まれていたにすぎないだって? 正体見たり枯れ尾花かもしれないが、小説はそうであってはならない。世間をあれだけ騒がせたんだ。警察もマスコミも煙に巻いたのだろう。学生運動崩れとヤクザと元刑事が犯人って何なのよ。それこそ想像力の欠如だろう。

記者の描写も何とも薄っぺらい。取材するのが嫌々だし。犯人が多弁なのも、バカ丸出し。書こうと思えばいくらでも欠点を書けそうだ。だがそれさえもったいない。

なぜこの本の評価が一部で高いのか、まったく理解できない。途中から嫌な予感がしていた。これで終わるはずがないと、まさかこのままでは終われまいと思っていたら、そのまんま何のどんでん返しもなく終わってしまった。理解できない自分にあきれてしまうほど、ほとんど理解できない。自分は小説読みとして終わってしまったのか。

雑な感想となった。情けないほど、言葉が出てこない。でも、今日のところはこれで終わるしかないか。