「今度は愛妻家」になれなくたっていい
★★★★★
やられた。いろいろ。やられるだろう、これは。泣いちゃうもんね。
薬師丸ひろ子がいいよ。子犬みたいに跳ね回る。あの仕草に惹かれる。快活に笑うと、こちらまで楽しくなる。色っぽくないのがまたいい。こんな妻が理想に違いない。声があの薬師丸ひろ子だし。
実は死んでいた。やられた。反則だよね。これは泣いてしまう。
伏線は十分あった。ずっと違和感があった。見直してみると、うなずける。これ映像だからできる叙述トリックだよね。文章ではこうはいかない。絵だから、さりげない伏線を忍ばせられる。
トリックのためのトリックになってないところがいい。全体のストーリーに絡み合っている。昭和のダメ夫、健気な妻。どこかの新聞のように、説教くさくないところがいい。人に伝えようと思えば、これだよね。説教じゃ、反発を招くだけ。どう共感を呼ぶのか。本当に参考になる。
湿っぽくなりがちながら、脇役が盛り上げて、バランスを保つ。このあたりもいい。
公開されたのは10年前。全く知らなかった。当時、デスクの頃か。仕事以外の情報が全く入ってこない空白の5年間だもんな。改めて思う。あの頃はひどかった。トヨエツの何十倍もひどかったな。よくしのいだものだ。