「ウオッチメン」は世界を救ったのか
【Amazon.co.jp限定】ウォッチメン スチールブック仕様ブルーレイ(数量限定) [Blu-ray]
- 出版社/メーカー: パラマウント
- 発売日: 2018/07/25
- メディア: Blu-ray
- この商品を含むブログを見る
★★★★
たしか二度目の鑑賞。細切れのシーンは覚えているが、全体のストーリーは全く忘れてしまった。心揺さぶられた記憶は残っている。
難解か? 難解ではない。メッセージは読み取れる。正義を問う物語だ。億の人々を救うために、数百万人に犠牲を強いることは認められるのか。サンデル教授のトロッコ問題であり、原爆投下の是非を問うことでもある。
政治の世界では、おそらく答えは出ている。究極の問いとしては、多数を取るべきなのか。だが本当に救えるのか検証できるのか、結果論でしか計れないのではないか。結果的に救っただろうという問いかけに、どう反論するのか。感情論をバカにするが、本当に無視していいのか。わからない。わからないふりをしていたい気もある。
犠牲になるものが誰なのか、そこも無視できないのではないか。思考実験では判断できない。大切な人を守るというのははたして感情論なのか。死にいく人々への想像力なしに、多数を救うことを是とするのか。
Dr.マンハッタンによる攻撃、これは核攻撃をイメージしているのだが、ほぼモニターの中での出来事で終わらされている。あのキノコ雲の下にどのような悲惨な大量殺戮が起きているのか、そこを映像上省力して、このテーマの是非を論じることが出るのか大いに疑問だ。
主なキャラクターはすべてアメリカの負の面を象徴している。力、傲慢、エリート、お色気、おたくとでも言おうか。いけ好かないんだよね。キリスト教的発想だけではない価値観の提示は望ましいが、それでもアメリカ内で論理で閉じる気がする。ベトナムというかアジアの描き方が雑すぎる。ハリウッド映画はどれもそんなだけど。